FC2ブログ
いつもありがとうございます。
「Pinky boxy」は女子ボクシングフェチ創作サイトです。リングの上でひたむきに闘う女子ボクサーたちの姿を小説やイラストで描いています。過度に暴力的な表現や性的な描写が含まれていますので閲覧の際はご注意ください。18歳以下の入室はご遠慮いただいています。ブログを楽しんでもらえたら拍手やコメントをいただけると、創作の原動力になります(^^)※この記事はいつも一番上にくるようになっています。

◆最近書いた小説の一覧◆

kibouhabana1rr
女子ボクシング部の部長である未希の前に立ちはだかる一人の同級生の存在。少女たちは熱く闘う。
sonohanabana3  
美優とそのみシリーズ第4作。美優、最後の闘い。
ringunikieyukuhonoobana
日本チャンピオンの遥花がライバルとの防衛戦に臨む。
「あに―いもうと」
亜衣は同じジムの美羽と新人王戦で闘うことになった。兄のタクロウは亜衣のトレーナーであり、美羽のトレーナーでもあり・・・。
「おさぼく2」
強くて可愛い美少女ボクサーとして注目を集める遥花。彼女の前に対戦相手として現れたのは・・・。シリーズ第2弾連載中。
「君がリングに上がる」  
幼馴染の綾乃がプロボクサーになった。タクミの心中は・・・。


◆キャラクタープロフィール◆

kyaratopr 


スポンサーサイト
FC2公認の男性用高額求人サイトが誕生!
稼ぎたい男子はここで仕事を探せ!
デリヘルもソープもイメクラも気に入った子がきっと見つかる
超大型リニューアル中の大好評風俗情報サイト!
未分類 | コメント(0)
「なんで…さっきまで由香理のジャブを避けれてたのに」
 第2R終了後のインターバル。コーナーポストに背中をもたらせてうなだれるように首が下がっているみちるは嘆くように言った。
「右にスイッチしてたよ由香理」
「えっ…?」
 みちるは高野の顔を見る。
「あいつサウスポーだろ。でも、2Rの途中で右の構えに変えてた。ちょっとだけだったけどな」
「それがなにか関係あるの?」
「左、右、左って構えが変えられてみちるの距離感を麻痺させられたんだよ。ただでさえサウスポーは距離感が掴みづらいんだ。すげぇやっかいなことしてきたな」
「そんな…そんな小細工してくるなんて…」
 とみちるは言うと、
「ぜんぜん小細工じゃねぇよ。立派な戦法だ由香理がしたことは」
 高野の怒鳴り声が響いた。
「なによ…由香理の肩持って…」
「何言ってんだよ、俺は相手のボクシングを認めなきゃ勝てないって言ってんだ。相手の肩を持つとかそういう話じゃねぇよ」
 みちるは下を見つめたまま高野の言葉に返事をしなかった。高野の言うことはもっとかもしれないけど、他にも言い方ってあるよ高野…。
「みちる、もっと慎重に攻めた方がいい。2Rはボクシングが雑になってた」
 それでもアドバイスを続けてくる高野にみちるも小さな声で、
「うん、分かった…」
 と頷いた。
 高野の言葉には不満があるけれどでも高野を信じなきゃ。友香理には負けたくない。絶対に負けられないから――――。
 第3R開始のゴングが鳴る。
 きゅっきゅっとキャンバスを蹴り上げ軽やかなステップを刻む音と共に乾いたパンチの音が次々と鳴り響いていく。左に右にスイッチしながら舞うようにステップして相手を翻弄し、放たれたパンチはことごとくヒットする。それは美しく、そして凄惨でもあった。
 ドボオォォッ!!
「ぶえぇぇっ!!」
 由香理の右のボディブローにみちるの身体がくの字に折れ曲がる。お腹にめり込んでいる由香理の右拳よりも頭の位置が下がりまるで屈服したかのような姿を晒すみちるに観客の視線が集中した。厚ぼったく腫れあがった唇からぼたぼたとよだれが垂れ流れ、ぷっくらと膨れわずかに開くばかりの瞳の力は弱々しく今にも意識が飛びそうであった。第1Rあれほど優勢だったのが今や失神寸前にまでダメージを負ったみちるの変わりように観客たちは息を呑む。
 もうみちるは完全にグロッギ―…。KOを期待する空気が場内に広がっていく。しかし、由香理は拳をすっと抜くとさっと後ろに距離を取った。そこはみちるのリーチの外。由香理は相手のパンチが届かない安全な距離から棒立ちとなったみちるの無防備な顔面に右のジャブを打ち込んでいく。
 バシィッ!!バシィッ!!バシィッ!!
 みちるの膝が何度となくがくがくと揺れる。明らかにパンチの射程外である距離から由香理のパンチを受け続けるみちる。その様はまるで大人と子供が闘っているかのように映るほど一方的な光景だった。差がどんどん広がっていく二人。しかしパンチを一方的に浴び続けたままじゃいられない。いられるわけがない。
「あたしだって!!」
 みちるが反撃に出た。しかし、距離感を失ったみちるのパンチは由香理にまったく当たらない。空振りを続けるうちにパンチは大振りになっていきついにはパンチをかわされて体勢を崩してキャンバスに両膝をついた。これがデビュー戦の試合の新人ボクサーであるかのようなお粗末なボクシングをするようになったみちるに観客席からは失望の声が漏れる。
「最初だけだったな竹嶋は…」
「全然ダメじゃん」
 ブーイングや非難の言葉が飛び交う中、みちるが荒い息を吐きながら立ち上がると、攻防は由香理のターンへと移った。右のジャブを二発。さらにスイッチして右に周ってから左のジャブを二発。足の位置が絶妙なタイミングで変わっていく由香理のボクシングにみちるは反応出来ずにパンチを浴び続ける。
 大味なみちるの攻撃を見せられた後だけにことさら由香理のボクシングの美しさが際立った。場内からは拍手喝采が沸き起こり、由香理コール一色に染まっていった。
 観客を味方につけた由香理のパンチの連打が止まらない。円を描くように周りながら左右のパンチを次々と打ち込みみちるをリング中央から逃げられないように封じ込める。
 由香理コールが止まない中、由香理のパンチをサンドバッグのように浴び続けるみちるは心の中で叫んでいた。
 なんで、なんで由香理のパンチばっかり当たるの…おかしいよさっきまではあたしが押してたのに…。
 パンチのダメージからかそれとも悔しさからなのか、みちるの目には涙が浮かび端から零れ落ちそうになっている。その目が重く鈍い音が響くと同時に大きく見開いた。
 ドボオォッ!!
 由香理の左のボディブロー。強烈な一撃はアッパーカットの軌道で下からみちるのお腹を突き上げる。大きく見開いたみちるの目から涙が零れ落ち、先が細く尖った唇は金魚のようにぱくぱくと動いていた。パンチのダメージで固まっていたみちるの身体が痙攣を始める。由香理は距離を取ることを選ばずに追撃のアッパーカットでみちるの顎を上に吹き飛ばした。
 グワシャッ!!
 天に向かって伸び上がった由香理の左の拳。顎を跳ね上げられたみちるは血飛沫を噴きながら後ろに吹き飛ばされた。どたどたと下がっていくみちるの後退は赤コーナーのポストにぶつかって止まった。最上段のロープに両腕が絡まりなんとかダウンを免れている。しかし、背中がコーナーポストにもたれ顎が上がり天を見上げたまま動けずにグロッギ―な状態でいる。
「みちる!!」
 みちるのすぐ後ろ、エプロンから叫ぶように声が飛んだ。父とそして高野の声。目が虚ろだったみちるはゆっくりと顎を下げてファイティングポーズを取る。その目は虚ろなままで父と高野の声が聞えたのかは分からない。みちるは一直線に由香理の元へ向かっていった。
「行くなみちる!!」
 制止をかけたのは高野だった。
 しかし、みちるはかまわずに由香理に向かっていく。右のストレートを由香理の顔面めがけて放った。両足をキャンバスにつけて構えていた由香理も左のストレートで攻撃に出た。
 みちると由香理の拳が交錯し、そして――――。
 凄まじい打撃音がリング中央から轟いた。
 それは由香理の思い通りの一撃。そして、みちるにとっては痛恨の一撃――――。
 みちるの名を呼ぶ高野の叫び声が再び赤コーナーから響き渡った。
小説・ときめき10カウント~あの時の約束 | コメント(3)
 由香理はカウント8で立ち上がってきた。表情はまだ歪んだままでダメージが残っているのは明らかだった。
 試合が再開されると同時にみちるは一気に前に出た。由香理の右のジャブをかわしながら距離を縮める。
 悪いけどもうジャブは慣れたから通用しないよ。
 由香理のジャブをことごとくかわして至近距離まで距離を縮めると、みちるはもう一度左のボディブローを放った。ガードの上。でも、由香理の動きが一瞬止まったのをみちるは見逃さなかった。そのままフックの連打で攻め立てていく。由香理は防戦一方となりパンチがまったく出なくなった。あっという間にコーナーポストまで押しやり、逃げ場を断ち切った状態でパンチを容赦なく浴びせた。
 ほとんどがガードの上からとはいえ何発かは良いパンチが由香理に当たった。コーナーポストで一方的に攻める状況がえんえんと続き、背中からレフェリーに掴まれた。
 えっもしかしてレフェリーストップ?
 高揚感に満ちながらレフェリーの方を見ると、
「ゴングだ。1R終了だ竹嶋」
 と言われた。
 そんな簡単には終わらないか。
 みちるは気を取り直して、由香理に顔を向ける。由香理はコーナーポストに身体をもたせながらまだ両腕のガードを上げたまま苦しそうに息をしていた。
 なんだもうよろよろじゃん。
 由香理の弱り切った姿を見て、みちるは次のラウンドには倒せると自信を持ってコーナーから離れた。
「良い調子じゃないかみちる」
 笑顔で迎えてくれたパパに
「うん、早い回で倒せるかもしれない」
 と気持ちよく応えた。
「でも、油断は禁物だぞ。タイトルマッチなんだ、一瞬の隙が命取りになることだってあるんだから」
「分かってるってパパ」
 そう言ってみちるはマウスピースを口から出して高野の顔を見た。高野はまた由香理の方を見ていた。
「高野…」
 みちるの声に気付いて、高野がこちらに視線を向けた。
「わりい…」
 そう言って高野はみちるのマウスピースを手に取って、水で洗う。
 なんで由香理を見てるの高野…。
 つい不安が出た。でも、それは試合とは関係のない…。すぐに気持ちを切り替えようとして、高野から顔を反らした。
 マウスピースを渡してくれた高野の方を見ずにみちるは口にくわえる。
 試合に勝てばいいんだから。試合に勝てば不安なんて関係なくなる。
 第2R開始のゴングが鳴った。
 コーナーを勢いよく飛び出したみちるに由香理がジャブを放つ。右のジャブを三連発。
 みちるがガードで凌ぐと、右に周られてさらに左のジャブが一発、二発。まだパンチの威力は落ちていない。でも、パンチをこれだけ出すってことはダメージが残っていること。今のうちに攻めなきゃ。
 由香理のジャブはまったく当たらない。スリッピングで頭を動かしながらみちるはかわし続け、五発目のジャブを避けたところで一気に距離を縮めに出た。
 懐に潜り込めた。また左のボディブローだ。そう思っていたら身体が由香理にぶつかって、体勢を崩して二人とも倒れてしまった。
 おかしいな、ばっちりの間合いだと思ったのに。
 由香理に覆いかぶさるように倒れたみちるは首を傾げながら先に立ち上がった。一方の由香理は荒げた息を吐いたままなかなか立ち上がってこない。
 時間稼ぎしてるんだからダウン取ってよ。
 由香理に苛々しながらレフェリーの方を見るものの、早く立ち上がるように促すだけでダウンを取ることも注意をすることもなかった。
 ようやく由香理が気だるそうに立ち上がってくると、試合の再開と同時にみちるはダッシュして由香理に襲いかかった。
 ジャブのタイミングはもう分かっている。由香理に恐れるものはない。ここで一気に試合を決める。
 そのつもりだった。
 飛んでくる由香理の右のジャブ。
 そのタイミングは分かっている。
 そのはずだった。
 なのに――――。
 由香理の右のジャブがみちるの顔面を捉え後ろへ弾き飛ばした。
 みちるが目を大きく開けたまま表情が固まる。
 避けたと思ったはずのパンチを食らって状況の理解が出来なかった。
「たまたまだよ」
 自分に言い聞かせるようにみちるは言ってまたダッシュして距離を詰めに出た。 
 しかし――――。
 状況は一変した。由香理の右のジャブが次々とみちるの顔面を捉える。
 みちるの心が激しく動揺する。
 なんで、さっきは避けれてたのに…。
 思うようなボクシングが出来なくなったみちるだったが、それでも前に出続けた。さっきまで由香理は倒れる寸前だったんだ。今攻めなきゃ、今がチャンスなんだ。
 しかし、前に出るみちるを嘲笑うかのように由香理の右のジャブが正確に顔面を捉えた。
 由香理の右のジャブの二連発。すぐにまた二連発。今度は三連発。左のストレートまでがみちるの顔面を鮮やかに捉えた。
 息を吹き返した由香理のボクシングの前に、だんだんとみちるの足が出なくなる。勢いよくキャンバスを蹴る姿はなくなり、ついにはみちるの両足が止まってしまった。
 みちるは両肩を上げて顔をしかめながらハァハァと荒い息を吐いている。呼吸が乱れなくなった由香理とは正反対の姿になっていた。
 出なきゃ前に…。
 そう思い、つま先に重心を乗せたところで、また由香理の左のストレートがみちるの顔面に深々と突き刺さった。
「ぶふぅっ!!」
 みちるが血飛沫を撒き散らしながら、後ろに吹き飛ばされる。ドタドタと後退していくみちるはロープに身体が当たり、右腕を絡ませてなんとかダウンを免れた。
 その体勢のままみちるは虚ろな目で距離を詰めに来る由香理の姿を見つめていた。
 なんで…なんで由香理のジャブが避けられないの…。
 前に出るみちる。しかし、由香理の左ストレートを浴びてまたロープまで吹き飛ばされる。由香理が一気に距離を詰めて、がら空きとなったみちるの顔面めがけて三度めの左のストレートを放つ。
 カーン
 第2R終了のゴングが鳴り響いた。
 由香理の赤いボクシンググローブはみちるの顔の目の前で止まっていた。由香理はゆっくりと拳を引き、満足そうな笑みを浮かべる。表情が固まったままのみちるに対して一人先に青コーナーへと戻っていった。ややあってから、みちるがようやく赤コーナーへと戻り始めた。口元にうっすらと笑みを浮かべた由香理の顔がいつまでも頭に残る。
 なんで…なんでなの…。
 みちるは頭を下げたまま悔しい思いで何度も心の中で叫んでいた。
小説・ときめき10カウント~あの時の約束 | コメント(0)

拍手コメントの返信

2017/07/01 Sat 18:26

こんばんわ~、へいぞです。

金曜日の夜は、朝ドラ「ひよっこ」と「涼宮ハルヒの憂鬱」の再放送を続けて見ています。両方とも見ると、物語ってやっぱり良いなぁという気になります(^^)

拍手、コメントありがとうございます(^^)↓はコメントへの返信です。

>名無しさん
ありがとうございます(^^)ライバルキャラの方が体調が万全なわけではない状態という従来とは逆のパターンにしているので試合展開もいつもと違う感じになってます(^^)
未分類 | コメント(0)
 場内はみちると由香理に対する歓声で溢れていた。名前を呼ぶ声が途切れることなく聞こえるけれど、その数は半々くらいかもしれない。二世ボクサーでメディアで取り上げられることはみちるの方が多いけれど、ビジュアルという点では由香理は女子ボクサーの中で相当綺麗な方だ。男からの声援では由香理の方が多かった。
 試合開始前、リング中央で由香理とにらみ合いながらみちるはあの時のことを思い出す。人前で初めて由香理と試合をした時のことを。お互いにプロでもないしアマチュアでの実績すらもないのに、みちるの学校の中で試合をしたために大勢の生徒の前でたくさんの声援を受けながら闘った。クラスメートのみんなに見られて恥ずかしかったけれど、その恥ずかしさは試合をしているうちに気持ち良さに少しずつ変わっていった。多くの人の前で闘うことってすごく心地よいんだ。肌で感じ取って、プロボクサーになりたいという思いが一段と強まった。由香理との試合がプロボクサーになる始まりだったかもしれない。そして、今度は由香理と日本タイトルマッチという大きな舞台で闘うことになった。大事な場面で必ず彼女が自分の前に立ちはだかる。大きな声援を受けながら由香理とにらみ合っていると、彼女はやっぱりあたしのライバルなんだとみちるは実感していた。
「今回の試合もあたしが勝たせてもらうからね」
 みちるは高揚した気持ちを抑えきれずに言った。由香理は顎を下げて目を瞑る。
「相変わらず品がないのね。せっかくの神聖な舞台が安っぽくなるわ」
 目を瞑ったままで話すその仕草にカチンときて、
「何言ってるのよ。勝つか負けるかがボクシングでしょ!」
 とみちるは怒りを込めて言った。
「喋れば喋るほどタイトルマッチの品位が落ちていくと私は言いたいのよ」
 由香理は首を横に振り、やだやだとでも言わんばかりの態度をみせる。
「品位とかボクシングに関係ないでしょ。こんなところでもお嬢様ぶらないでよ!」
 みちるがさらに大きな声を出すと、由香理は目を開けたもののまたすぐに閉じて口を閉じたままでいる。
「言い返せないってことは図星ってことだよね」
「そうじゃないわ。あなたにがっかりしただけよ」
 なによえらそうに!
 そう喉から言葉が出かかったところで、
「二人ともいいかげんにしなさい」
 とレフェリーから注意を受けた。みちるは出かかった言葉を飲み込み、むかむかしたまま赤コーナーへと戻っていく。
「取り乱しちゃ駄目だろ」
 コーナーに戻ると、パパが珍しく厳しい口調で言った。
「うん、わかってる」
 とみちるは言ったものの、けど、と心の中で付け足した。
 由香理には気持ちでも負けたくなかったから。
 「なぁ、みちる」
 高野からも声をかけてられて、小言を言われるのかなと思いながら顔を向けた。高野の視線はみちるには向けられていなかった。その視線の先は青コーナーに立つ由香理――――。
 みちるの心の中がざわつく。
 何で由香理を…。
「由香理はだいぶ減量で弱ってそうだな」
「え…」
 高野の言葉でみちるも慌てて由香理の方を見た。遠くからではっきりとは見えない。でも、高野の言う通り、昨日の計量の時に由香理の頬が少しほっそりととしていたことはみちるも気になってはいた。さっき間近で見た時は顔の表情は普通の状態になっていたけれど、それは一日経って十分な食事を取ったあとだから気付きづらくなっている。
 よく見てるんだ高野は。一瞬、気持ちを乱した自分に恥ずかしさを覚え、高野のことが頼もしくみえた。よかった高野がセコンドにいてくれて。
「作戦だけどさ、前半は様子見て後半勝負にしないか。今の由香理なら後半のラウンドまで体力持たない可能性が高いぞ」
 高野の作戦の方が勝つ確率は高まるかもしれない。でも――――。
「ありがとう高野」
 とみちるは言った。
「でも、由香理の調子が悪くてもあたしはいつもと変わらない闘い方をするよ。自分の力を信じてたいから」
 自分のボクシングを日本タイトルマッチという大舞台でもしたかった。自分が築きあげてきたものだから。
「そうか…分かった、急に言っても無理があるよな」
 高野の声は柔らかくて、気にしているようにはみえなかった。
 パパからマウスピースを口にはめてもらい、みちるは一度胸元で両拳をばすっと合わした。
 闘志をみなぎらせながら、ゴングが鳴るのを待った。
 ゴングの音が鳴り響き試合が開始された。みちると由香理がコーナーから出る。
 由香理は右足を前に出し、右拳を上下にリズムを取りながら揺らす。がんがん攻めていきたいところだけれど、そうはいかない。由香理のボクシングはサウスポースタイル。右利きと違い左利きのボクサーと闘うことなんてほとんどないから距離感が難しい。そのために由香理と初めて拳を交えた時はいいように一方的に打たれて終わってしまった。二度目に学校内で試合をした時もやっぱり不慣れだったから苦戦させられた。最後は逆転勝ち出来たけど、試合を支配していたのは由香理の方だった。
 サウスポーに慣れなきゃ由香理には勝てない。由香理との二度の試合の体験を活かして、今回は高野にサウスポースタイルでスパーリングをしてもらった。高野は右利きだし、スパーと実戦はまた別物だけど、それでも準備は十分に出来たと思う。
 みちるは両腕を高く上げながら少しずつ距離を縮め、相手の出方を伺った。一方の由香理もフットワークを使ってみちるの周りを動くもののまだパンチは一発も出していない。様子見が続く。口火を切ったのは、由香理の方だった。右のジャブを放つ。そのジャブはみちるの顔面を捉えた。さらにもう一発右のジャブがみちるの顔面に当たり、乾いた音が響いた。静かだった場内から歓声が沸いた。
 由香理が一気に攻撃に出た。右のジャブの連打。軽やかに足を使いながらリズムよくジャブを放ちその外見同様に美しいボクシングで攻めていく由香理に対してみちるはガードを固めて凌ぐ。試合は早くも由香理が主導権を握ろうとしている。そう思われた矢先だった――――。
 ドボオォォッ!!
 肉が押し潰される嫌な音がリングに響き渡った。くの字に折れ曲がる上半身。反り返る唇からはみ出る白いマウスピース。表情は固まり、目は天井を向いていた。
 美しい姿は一瞬にして崩れ去っていた。みちるの左のボディブローに由香理は早くも悶絶した表情を晒す。
 みちるがお腹にめり込ませた左の拳をそっと抜くと、由香理は腰から崩れ落ちていく。そして、そのままキャンバスに尻もちをついた。
「ダウン!!氷室、第1R早々にダウンです!!」
 アナウンサーが興奮して実況し、観客席から大きな歓声が沸き起こる。
 尻もちをついて固まった表情でキャンバスに目を向ける由香理をみちるは勝ち誇った表情で見下ろしていた。
 これが今のあたしの力だよ由香理――――。
小説・ときめき10カウント~あの時の約束 | コメント(2)
 | HOME | Next »